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闇を暴く もっと光を: 2009年01月29日
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ジャニー喜多川によるセクハラ問題 「第147回国会 青少年問題に関する特別委員会 」

2000年4月13日、衆議院・青少年問題に関する特別委員会において、阪上善秀議員(現宝塚市市長)・自民党が児童虐待に関する質問を行う。その中でジャニーズ事務所社長ジャニー喜多川によるセクハラ問題について取り上げた。

 その国会質問全文。

 参考本文:ジャーニーズ・タブー崩壊か?「嵐」大野智「大麻で3P」報じた週刊現代 2008年07月29日



 なお、この国会質問で、阪上善秀議員の質問に、政府委員として答弁していたのが、黒澤正和警察庁生活安全局長(当時)である。

【黒澤正和氏の略歴】
昭和20 年10月10日、福島市生まれ(62歳)、学歴/昭和44年 東京大学(法学部)卒業、同44年7月警察庁入庁、その後、警察庁、環境庁、北海道、警視庁、神奈川県等で勤務。平成元年9月佐賀県警察本部長、同3年3月 警察庁給与厚生課長、同4年8月警視庁防犯部長、同5年8月 警察庁防犯企画課長、同6年2月警察庁長官官房総務課長、同7年9月 警視庁総務部長、同10年1月警察庁暴力団対策部長、同11年8月 警察庁生活安全局長、同14年8月警察庁退職。

 退職後、トヨタ顧問などをへて、問題のスルガコーポレーション取締役副社長に就任。最近では、この7月1日に、電遊協=電遊協遊技業協同組合=の理事長に就任している。

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平成十二年四月十三日(木曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員   
   委員長 富田 茂之君
   理事 石崎  岳君 理事 太田 誠一君
   理事 阪上 善秀君 理事 戸井田 徹君
   理事 田中  甲君 理事 池坊 保子君
   理事 石井 郁子君 理事 三沢  淳君
      岩永 峯一君    江渡 聡徳君
      大野 松茂君    奥山 茂彦君
      佐田玄一郎君    佐藤  勉君
      坂本 剛二君    実川 幸夫君
      中野 正志君    能勢 和子君
      原田 義昭君    目片  信君
      北橋 健治君    城島 正光君
      中川 正春君    中山 義活君
      山本 孝史君    石田 勝之君
      大森  猛君    松浪健四郎君
      一川 保夫君    保坂 展人君
    …………………………………
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (総務庁青少年対策本部次
   長)           川口  雄君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    細川  清君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (文部省生涯学習局長)  富岡 賢治君
   政府参考人
   (文部省初等中等教育局長
   )            御手洗 康君
   政府参考人
   (文部省体育局長)    遠藤 昭雄君
   政府参考人
   (厚生省児童家庭局長)  真野  章君
   政府参考人
   (農林水産省農産園芸局長
   )            木下 寛之君
   政府参考人
   (郵政省放送行政局長)  金澤  薫君
   政府参考人
   (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君
   衆議院調査局第三特別調査
   室長           澤崎 義紀君
    ―――――――――――――
四月十三日
 三沢淳君が理事を辞任した。
同日
 石井郁子君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 青少年問題に関する件(児童虐待問題等)
    
   午前九時一分開議
     ――――◇―――――
○富田委員長 これより会議を開きます。
 この際、去る七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事の辞任及び補欠選任を行います。
 まず、理事の辞任の件についてお諮りいたします。
 理事三沢淳君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に石井郁子君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○富田委員長 次に、青少年問題に関する件、特に児童虐待問題等について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、総務庁青少年対策本部次長川口雄君、法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、文部省生涯学習局長富岡賢治君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、文部省体育局長遠藤昭雄君、厚生省児童家庭局長真野章君、農林水産省農産園芸局長木下寛之君、郵政省放送行政局長金澤薫君及び労働省労働基準局長野寺康幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

○富田委員長 次に、阪上善秀君。
○阪上委員 自由民主党の阪上善秀でございます。
 本日は、児童虐待問題に関して質疑をさせていただくわけでございますが、私は、児童虐待を、親または親にかわる保護者等によって行われる虐待行為というだけではなしに、子供の健全な成長を妨げるような大人のすべての行為であるととらえて、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。
 本題に入る前に、若干政府にただしておきたい点がありますので、そちらから質問をさせていただきます。
 まず、警察庁にお伺いしたいのですが、昨今、警察の対応のまずさゆえに事件を大きくしてしまったという報道は目に余るものがございます。新潟の女性監禁事件、埼玉県の桶川市で起こった女子大生刺殺事件、名古屋の五千万円恐喝事件と、警察の民事不介入の原則が世の流れに合わなくなってきているのではないかということは明々白々であります。
 さすがにこれではまずいと気づいたのか、警察庁は、去る三月に、「困りごと相談業務の強化に係る実施要領について」という局長通達を都道府県警察あてに発出し、その中でいわゆるストーカーと言われるつきまとい事案、家庭内暴力等の事案、児童虐待事案等に適切に対処できるように指示しております。
 この通達による安心して暮らせる空間づくりのためには、警察の人員の増強が必要なことは言うまでもございませんが、私が危惧しておりますのは、そのための予算措置は大丈夫なのかということであります。地方の財政危機が叫ばれておりますこの時期に、地方に負担をかけることなく、第一線の警察官の士気を損なうことのないような方法がとられているのかどうか、お聞きをいたします。
○黒澤政府参考人 国民が警察に最も強く求めますものは、安心して暮らせる空間でございます。その確保をするための活動を強く求めておるわけでございます。
 ただいま委員から御指摘がございましたけれども、特に、最近、社会問題になっております女性に対するつきまとい事案、夫から妻への暴力事案、児童虐待事案等につきましては、国民からの要望に積極的にこたえるために、都道府県警察に対しまして、困り事相談の受理、対応体制を充実強化し、犯罪等の未然防止活動を徹底するよう指示いたしたところでございます。
 委員御指摘の、お尋ねの警察力の充実強化でございますけれども、現下の喫緊の課題であると認識をいたしておりまして、引き続き、さらなる人的基盤の強化、そして予算の充実につきまして十分に検討していく必要があると考えておるところでございます。
○阪上委員 次に、厚生省。
 厚生省は、現行法改正、つまり児童福祉法の改正には消極的と言われておりますが、その真意をお伺いしたいのであります。
 先ほど申し上げました名古屋の五千万円恐喝事件におきましても、被害者の少年の母親は、地元の児童相談所に相談に行ったとの報道がございました。相談に行ったが、対応し切れなかった。残念ながら、現状では相談所の能力が目いっぱいであることも原因の一つだと思います。
 また、先日の当委員会の参考人質疑における全国児童相談所長会のアンケート結果からすれば、児童相談所の拡充強化は急務であることは間違いのないことだと思います。そして、児童相談所の拡充強化、人員増は現行法の範囲で十分可能であり、そのための法改正は必要ではなく、実行上の問題であり、それを当局は指導しているのだから厚生省は責められることはないということなんでしょうか、御意見をお伺いいたします。
○真野政府参考人 児童虐待の問題につきまして、児童相談所を含めまして、あらゆる機能を十全に果たしていくということは私ども最大考えなければならないことだと思っております。
 ただ、法律改正という観点に関しましては、先ほども申し上げましたように、昨年来当委員会で大変御熱心に御議論をいただいておりますし、また、児童相談所を初め、福祉の現場の第一線の方々からさまざまな意見が寄せられております。また、昨年十二月には当委員会での御決議もございました。そういうようなことを、私ども、深く、強く、重く受けとめておりまして、これらの議論の中で提起されております法的整備の問題を含めて、幅広く、真剣に検討する必要があるというふうに考えております。
○阪上委員 それでは、児童虐待とは子供の健全な成長を妨げるような大人のすべての行為であるという観点からお伺いをしてまいります。
 児童福祉法第三十四条は、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」と十一個の事例を挙げております。もちろん、この法律は戦後間もないころにできた法律でありますから、そのころの社会情勢には適合しておりましても、現在では少し首をかしげたくなるような事例もあります。しかし、この事例は本当に機能しているのかという疑念があります。
 昨年、十八歳未満の児童を相手にした買春やポルノを処罰する児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律が施行され、青少年の人権保護に大きな前進を見たと思っております。
 しかし、私は、昨年、地元のある親御さんから、こんな気になる話を聞いたのであります。
 東京に少年たちがタレントとして活躍しているジャニーズ事務所という芸能プロダクションがあるのですが、そこに所属する少年たちの間で喫煙や飲酒が堂々とまかり通っておるというのであります。ほかにもいろいろな問題があります。私も耳を疑ったのですが、ジャニーズ事務所の社長であるジャニー喜多川さんがタレントの少年たちに性的ないたずらをしているという話も聞きました。
 その親御さんのお子さんがジャニーズ事務所に関係しており、お子さんだけでなく、子供の友達からもジャニーズ事務所の体験談をたくさん聞いたそうであります。
 私は芸能界に疎い人間であります。ジャニーズ事務所という名前は知っておりましたが、その詳しい内容について知りませんでした。しかし、訴えの内容が内容だけに、私も気になって少し調べてみました。すると、かなり以前からこの問題は活字になっていますし、最近でも文芸春秋社発行の週刊文春に、十回にわたり、この問題が掲載されておるではありませんか。
 ジャニーズ事務所は、青少年に対して極めて大きな影響力を持つ芸能プロダクションであります。この大みそか、事務所に所属するタレントが集まって東京ドームで年越しコンサートを開きましたが、そこに五万五千人も集めております。昨年、「嵐」というグループがデビューしたが、東京の国立競技場で行われたデビューイベントには八万人が押しかけておるのであります。新人ですらそうなんです。事務所で一番人気のあるSMAPというグループなど、昨年夏のコンサートだけで、五十万人以上のファンを集めておるというのであります。
 そういう華やかな反面、ジャニーズ事務所のタレントOB、元フォーリーブスの江木俊夫が、昨年、覚せい剤を使用して、有罪判決を受けました。フォーリーブスでは北公次さんもそうであります。覚せい剤で逮捕されたタレントOBは五名になります。
 私、いろいろと調べてみましたが、ジャニーズ事務所の人気や社会的影響力の大きさを考慮したとき、教育的な見地から、どうしても看過できない、多くの疑問を抱きましたから、あえて問題を提起させていただきたいと考えたのであります。
 順を追って質問をいたしてまいりたいと思います。
 まず、労働省にお伺いいたしますが、労働基準法では、満十五歳未満の児童は労働者として使用してはならないとありますし、満十五歳以上十八歳未満の年少者は深夜、つまり午後十時から午前五時までは使用してはならないと定められているのであります。また、満十五歳に満たない児童については、労働基準監督署の許可を受けて使用する場合、年齢証明書のほかに、「修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。」とあります。
 これらの規定について、ジャニーズ事務所の実態を労働基準監督署では把握されておられるのか。そして、実態調査を過去にされたと聞いておりますが、その事実についてもお伺いをいたします。
○野寺政府参考人 芸能プロダクションの専属タレント等につきましてはいろいろ難しい問題がございますが、一般的に申しますと、専属契約という形の契約で報酬、スケジュール等が決められておるようでございます。
 この報酬を見ますと、一般の方の所得水準の数倍にも上るようなケースが多いわけでございまして、これから考えますと、労働の対償である賃金とは言えない場合が多いというふうに考えております。または、税法上も事業所所得という形で課税されているわけでございます。こういったことから、いわゆるタレントは、一般的には労働者とはみなしていないというケースが多いわけでございます。
 ジャニーズ事務所でございますけれども、これまで年少者にかかわります労働基準法上の先生御指摘の規定等の問題があるといったような情報も、週刊誌のお話もございましたけれども、特には告発等の形ではないわけでございまして、そういう意味では、現在正確に情報を把握しているという状況ではございませんが、労働基準法等の観点に照らしまして問題があるようであれば今後必要な調査を的確にやってまいりたい、なおかつ指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○阪上委員 昭和六十三年に、ジャニーズ事務所では光GENJIというグループに大変人気がありました。当時十四歳のメンバーが深夜の歌番組に出演した疑いで労働基準監督署が調査に入りました。このときはなぜ問題にならなかったのですか、お伺いをいたします。
○野寺政府参考人 御指摘の光GENJIの件でございますけれども、昭和六十三年の六月に、事務所を管轄いたします労働基準監督署が調査をいたしております。このときの調査によりますと、報酬面や、あるいは先ほど申しましたように税法上の取り扱い、事業所所得として課税されているといったような実態から見まして、労働者とは認められないというような判断をしたわけでございます。したがいまして、特段の指導は行っておりません。
○阪上委員 それではお聞きいたしますが、昨年十二月に、大手プロダクションのホリプロ所属のタレントが大阪の毎日放送に深夜出演したことで、大阪府警がホリプロと毎日放送の社員を労働基準法違反の疑いで書類送検をいたしております。ホリプロは摘発されてジャニーズ事務所は許されるというのはおかしいのではないかという声をよく聞きました。
 ジャニーズ事務所に対する報道がある以上、少年たちの教育的な見地から、事務所の実態調査を行い、必要な指導を行うべきではないかと思います。平成十年あるいは十一年に実態調査に入られたと聞いておりますが、その後の指導監督はいかがになっておりますか、お伺いをいたします。
○野寺政府参考人 昨年十二月、御指摘のホリプロの所属タレントが大阪毎日放送に出て深夜放送に出演したという件でございますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたように、個々のタレントの契約の実態、内容、所得の課税の状況等々勘案いたしまして、労働者に該当するかという形で判断をするわけでございます。
 この場合には、いわば売り出し中といいますか、タレントもかなり名前が通って所得がふえてまいるような状況の方と、まだそこまで至っていないような状況の方がいらっしゃいますけれども、この場合は余り売り出しがまだできていないような方であったかと思います。したがいまして、労働基準法上の問題に抵触する可能性がございましたので、その観点から必要な指導を行い、的確にその是正が図られるように努めてまいっております。
○阪上委員 それでは次に、文部省にもお伺いいたしたいと思います。
 ジャニーズ事務所では、中学生の少年に平日のドラマの仕事が入ることがありますが、子供が義務教育段階にある場合、学校教育法では、児童の使用者が「義務教育を受けることを妨げてはならない。」とありますが、いわゆる芸能プロダクション、学校長、子供に対してどのような指導をされておるのか、お伺いをいたします。
○御手洗政府参考人 個別の状況について承知いたしておりませんけれども、一般論として申し上げますと、先ほど先生御指摘ございましたように、労働基準監督署の許可を受けるに際しまして、学校長がその使用が修学に差し支えないことを証明するという手続になってございます。この点につきましては、各学校におきましても、私ども周知はしておりますので、具体的に家庭とも十分連絡をとった上で、その状況について学校長が証明書を与えるということになろうかと思います。
 その後の、実際の使用許可を受けて子供たちが使用されている状況につきましては、当然学校といたしましては、教育課程がしっかりと身につくようにということで、十分それは個別の生徒指導上の観点から把握をし、そしてまた家庭とも連絡をとりながら、問題があれば家庭あるいは労働基準監督署と連携をとって適切に対応するということが必要であろうかと思いますので、今後とも、そういった具体の問題点につきましては、御指摘がありましたら、私どもといたしましてもそういった形で適切な連携が行われますよう指導に努めてまいりたいと考えております。
○阪上委員 学校長が出した許可書と事務所の実態、そして子供、親との関係というものが、書類だけがまかり通って形骸化されている節があると思いますので、なお厳しい把握をお願いいたしたいと思います。
 次に、ジャニーズ事務所で横行する飲酒や喫煙の問題についてお伺いをいたします。
 週刊文春のグラビアで、ジャニーズで働く少年八名の喫煙、飲酒写真が掲載されておりました。他の雑誌にも同様の写真が掲載されております。ジャニーズ事務所のタレントが当たり前のように喫煙や飲酒をしているわけでございますが、彼らはいわばあこがれの対象であるだけに、青少年に対する影響ははかり知れないものがあると思います。
 文部省並びに捜査当局は、ジャニーズ事務所にいかなる指導、勧告を行ってこられたのか、お伺いをいたします。
○遠藤政府参考人 一般論で申しますと、学校教育におきましては、たばこやアルコールが心身に及ぼす影響などをまず正しく認識させるということ、それによって未成年の段階では喫煙や飲酒をしないという態度を育てることを主なねらいとしまして、喫煙とか飲酒に関する指導を行っておるところでございます。これは、中学校、高校では保健体育とか特別活動などで行っていますし、小学校でも、十年の学習指導要領の改訂に当たりましては、その旨を明記しまして、充実を図ろうというふうに対応しているところでございます。
 こうした指導などを通じまして、児童生徒が周囲の状況にかかわらずみずからの判断で喫煙とか飲酒を行わないこととなるよう今後とも努めてまいりたいと思いますが、文部省としては、学校教育等の場面を通じてそういった喫煙とか飲酒の防止に関する教育に努めているところでございまして、私どもが直接に特定の事務所等に指導するということは難しいものと考えております。
○黒澤政府参考人 詳細につきましては控えさせていただきますが、御質問のジャニーズ事務所で働く少年たちがあるパーティー会場において飲酒や喫煙を行っていた事案につきましては、関係者に対しまして厳重に注意をし、あるいは始末書をとるなどの所要の措置を講じたものと承知をいたしております。
 警察といたしましては、少年の飲酒、喫煙というものは、その健全育成上重大な問題として認識をいたしておるところでございまして、今後とも、少年の健全な育成を阻害する行為等に対しましては、未成年者飲酒禁止法や未成年者喫煙禁止法等の関係法令の趣旨に照らしまして、厳正に対処していきたいと考えておるところでございます。
○阪上委員 例えば週刊文春のグラビアで、実名を挙げて、米花君というタレントの喫煙している写真が掲載されております。この米花君は最近も、テレビにレギュラーで出演をしております。脱法行為を指摘されている少年が大手を振ってテレビに出演しているのでは、他の青少年に対して示しがつかないのではないかと思うのですが、答弁をお願いいたします。
○遠藤政府参考人 お答えします。
 おっしゃるように、そういう人気のあるタレントがそういった場面で飲酒、喫煙等を行うということは、私どもとしても、青少年に与える影響というのは大変大きいものというふうに心配をしております。そういったタレントの方が未成年の場合には、これは当然、法律で禁じられておることでございますから、その方がタレントであるか否かにかかわらず許されないものであることは間違いありませんので、そういった場合の対応としては、やはり学校を含めた周囲の関係者が適切に対応していくべきもの、あるいは、法律違反ということになれば警察署ということになろうかというふうに考えております。
○阪上委員 次に、最も深刻な問題であるジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います。
 報道によれば、ジャニー喜多川社長は、少年たちを自宅やコンサート先のホテルに招いて、いかがわしい行為を繰り返しておるという内容のものであります。なぜ少年たちがこんな行為に耐え忍んでいるかといえば、ジャニー喜多川社長に逆らうと、テレビやコンサートで目立たない場所に立たされたり、デビューに差し支えるからというのであります。
 私は独自の調査で、ジャニーズ事務所に所属していたことのある少年の母親の手紙を手に入れました。少し長くなりますが、御紹介をさせていただきます。
  うちの現在高校二年生の息子も、中三の冬にオーディションに合格し、約一年間ジャニーズジュニアをしていましたが、事務所からのコンタクトがなくなり、自然にやめたような形になりました。ずっと後になって息子から聞いたのは、オーディションに受かってから初めてレッスンに行ったとき、先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられたそうであります。息子はジャニーさんの好みでなかったらしく一度も誘われなかったので、清い体でやめることができましたが、何人かはこの行為を受け、お金をもらっていたそうであります。今テレビでにこにこして踊っているジュニアたちは、陰ではそんなつらい思いをしておるかと思うとかわいそうです。
 こういう内容であります。こういうことが事務所でまかり通っているわけであります。
 ジャニー喜多川氏は、親や親権者にかわって児童を預かる立場であります。児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではありませんか。
○真野政府参考人 児童虐待の定義でございますが、先ほど来御説明をいたしておりますように、私ども、平成十一年三月に作成をいたしました「子ども虐待対応の手引き」において私どもなりの虐待の定義をいたしておりまして、この手引によりましては、親または親にかわる保護者などによって行われる身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトを虐待というふうに規定をいたしております。
 今御指摘の件は、性的な行為を強要した人物がこの手引に言います親または親にかわる保護者などに該当するわけではございませんので、私ども、手引で言うところの児童虐待には当たらないというふうに考えております。
○阪上委員 その判断はおかしいと思いますね。地方から単独で東京の事務所に出てきて預かってもらっておる人が、なぜ親がわり、親権者がわりにならないのか、私は大いに疑問であります。
 ジャニー喜多川氏の行為は法的に問題があると私は考えます。児童福祉法第三十四条第六号は、児童保護のための禁止行為として挙げておりますが、ジャニー喜多川氏の報道された行為が事実とすればこの法律に違反しているのではないかと思いますが、いかがですか。
○真野政府参考人 児童福祉法の三十四条では、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」ということから、児童福祉を著しく害する行為を定めましてこれを法律上禁止いたしておりまして、同条の第六号には「児童に淫行をさせる行為」が規定をされておりまして、「淫行」とは、判例によれば、性交そのもののほか性交類似行為を含むというふうにされております。また、「淫行をさせる行為」とは、児童に淫行を強要する行為のみならず、児童に対し直接であると間接であるとを、また物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を行使して児童が淫行することに原因を与えまたはこれを助長する行為を包含するという判例もございます。
 御指摘の個別事案につきまして、それを判断するための情報がございませんが、一般論といたしましては、児童に対しまして今申し上げたような性交類似行為をするということは、児童福祉法三十四条の六号に違反しているというふうに考えられると思います。
○阪上委員 厚生省の今の答弁のように、事実を把握しておりながら実行しないというところが、私は、青少年、あこがれのスターを夢見る子供たちをみすみす犠牲に追いやっているものと思います。
 報道によれば、ジャニー喜多川氏はセクハラを行った後に、数万円の金銭を少年たちに与えておりますが、東京都や大阪府などで定められた青少年健全育成条例では買春処罰規定があります。例えば東京の場合、「何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行なってはならない」とあります。この規定に抵触するのではありませんか。
 なぜか大阪と東京の場合では違いがあるそうでございますが、その差についても御答弁をお願いいたします。
○黒澤政府参考人 個別具体的な事案の捜査にかかわりますことにつきましては答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、犯罪があると思料されます場合には捜査を行いまして、違法行為があれば、法と証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと考えております。
 なお、東京都青少年の健全な育成に関する条例第十八条の二に規定する「職務、役務その他財産上の利益」につきましては、次のように解されていると承知をいたしております。「職務」とは雇用または仕事のことでございまして、「役務」とはサービスのことであります。また、「その他財産上の利益」とは、債務免除等、財物ではないが金銭的に評価できる財産上の利益でございます。したがいまして、仕事上の利益がここで言う職務等に当たるか否かにつきましては、具体的な事案の内容に基づき判断されるものと考えております。
 それから、健全育成条例につきましては、淫行、わいせつ行為、いろいろな規定の仕方がございますけれども、東京都の条例では、金銭等を対償として供与し、供与することを約束する、こういったことが必要でございますが、県の条例によってはこういった要件のないところとか、都道府県によりましてそれぞれ差異がございます。
○阪上委員 これはやはり全国的な、統一なものを私はつくっていく必要があるのではないかと思っております。
 ここで忘れないうちにお聞きしておきたいのですが、ジャニーズ事務所に対して警察庁も厳重注意を勧告されたと聞いておりますが、それはいつのことであったのですか。
○黒澤政府参考人 済みません。ちょっと御質問の御趣旨は……。
○富田委員長 ジャニーズ事務所に厳重注意をされたと聞いているがと。
○黒澤政府参考人 そのように対応いたしております。
○阪上委員 私の質問が終わるまでで結構ですから、きのう打ち合わせに来られた方にお話の中で、ジャニーズ事務所にいつ厳重注意を勧告されたかという日にちをお聞かせください。
 金銭だけでなく、少年たちに仕事上の不利益があると考えさせることも違反に該当するのではありませんか、御答弁をお伺いいたします。
○黒澤政府参考人 厳重注意、始末書をとった日時、ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんが、間違いなく厳重注意、始末書処分をいたしておるところでございます。
 それから、先ほども申し上げましたが、仕事として出させない、こういったことが条例に違反するかどうかにつきましては、個々具体的な事案に応じて判断されるわけでございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、仕事上の不利益が条例で言うところの職務等に当たるのか否か、それは具体的な事案の当てはめの問題でございまして、具体的な事案の内容に基づきまして判断されるものと考えております。
○阪上委員 次に、冒頭で申し上げました児童買春、児童ポルノ禁止法には抵触しませんか、お伺いをいたします。
○黒澤政府参考人 大変失礼いたしました。厳重注意をいたしましたのは飲酒と喫煙の関係でございまして、淫行ということではございませんので、その点、訂正をさせていただきます。
○富田委員長 阪上先生、今のは警察庁に対しての質問ですか。(阪上委員「はい」と呼ぶ)
○黒澤政府参考人 大変申しわけございません。質問の御趣旨をちょっと聞き漏らしまして、大変失礼いたしました。
○富田委員長 児童買春、児童ポルノ禁止法に抵触しないかというふうに阪上委員は質問されているんですけれども。
○黒澤政府参考人 大変失礼いたしました。
 個別具体的な事案にかかわる捜査でございますので答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますならば、児童買春、児童ポルノ法では児童買春をした者を処罰することといたしておるわけでございますけれども、児童買春とは、児童等に対しまして、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対しまして性交等をすることと規定されております。これに違反するような行為がございますれば、具体的な証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと考えております。
○阪上委員 我々、議員立法までして児童虐待の原因解明をやっていきたいというときに、飲酒と喫煙で厳重注意でありますから、ジャニー喜多川氏のこのようなセクハラ行為は、今後警察庁としてどのように追及し、捜査をされようとしておりますのか、決意のほどをお伺いいたします。
○黒澤政府参考人 青少年の健全育成は大変重要な私どもの任務と考えておるところでございまして、今後とも、少年の健全育成のためにあらゆる施策、そしてまた各種の法令を適用いたしまして各種の事案に対応して、健全育成を図ってまいりたい。また、関係機関とも緊密な連携をとってこの問題に対処してまいりたいと存じます。
○阪上委員 警察庁の方にも、私の質問の流れを聞いていただいて、ジャニーズの事務所の実態、社長の存在、そして、そこで働く傷つく子供たちのこともよくわかっていただいたと思いますので、これからの児童虐待に警察庁がどのような姿勢で対応するのか、これがこれからの動きを大きく左右すると思いますので、注目をしてまいりたいと思います。
 次に、法務省ですが、十二歳の少年がセクハラ行為を受けたという報道もありましたが、刑法によれば、十二歳以下の少年にわいせつな行為をした者は強制わいせつ罪にも問われると思いますが、いかがですか。
○古田政府参考人 一般論として申し上げますれば、刑法では、十三歳未満の少年についてわいせつな行為をしたときには、それ自体で強制わいせつ罪が成立することとされております。
○阪上委員 条例違反や児童福祉法違反、強制わいせつ罪は、被害者からの訴えがなくても捜査の対象となると思いますが、いかがですか。
○古田政府参考人 一般論を再び申し上げることになりますけれども、今御指摘のような犯罪につきまして、被害者からの被害申告あるいは告訴、このようなことが捜査を開始する要件とされているわけではないというふうに理解しております。
○阪上委員 警察庁の考えもお願いします。
○黒澤政府参考人 ただいま法務省から答弁がありましたとおりでございます。
○阪上委員 昨年、愛知県名古屋市で、二十三歳の女性教師が中学三年生の教え子と関係を持ち、愛知県警が摘発しております。
 捜査当局にお伺いしたいのですが、同種の問題が起きたとすれば東京でも捜査の対象になり得るのかどうか、お伺いをいたします。
○黒澤政府参考人 先ほども申し上げましたが、淫行等に対しまして利益の供与というものがあるのかないのか、その辺が条例で違っておる部分がございまして、東京都の場合には利益の供与というものが要件になっておりますので、それがないということでございますので、東京だとそれは当てはまらない、このように解されるところでございます。
○阪上委員 捜査当局では、報道にあったような証言について真摯に受けとめる必要があるのではないかと思っております。
 ジャニーズ事務所所属タレントが一日署長を務めたり、所轄署に差し入れをしていることが捜査に影響を与えているのではないかという意見もよく聞くわけでございますが、そういうことはないと思いますが、お伺いいたします。
○黒澤政府参考人 警察におきましては、違反行為につきましては厳正に対処いたしておるところでございます。
○阪上委員 大みそかのNHKの紅白歌合戦といえば、昔ほど驚異的な視聴率は上げてはいないのですけれども、現在でも国民全般に愛されている番組であると思います。
 私も、当委員会に所属しております関係上、若者たちに人気のある芸能人はどういうものだろうかということで、興味を持って前半から見ておりましたが、最近の若者はスタイルはよくなったなと感心する以外、だれがだれなのかさっぱりわからないというのが現状でございました。そして、その出場メンバーの中にジャニーズ事務所という芸能プロダクションに所属している若者たちが大挙して出演していることも知りませんでした。
 そんな折、私は、知り合いの芸能プロダクションの元社長からこんな話を聞いたのであります。ジャニーズ事務所が日本の芸能界を牛耳っているため、ジャニーズ事務所に逆らうとタレントを引き揚げられて番組ができなくなってしまうというのであります。それで、テレビ局は遠慮して、ジャニーズ事務所に関する不祥事を放送できないそうであります。マスコミ、新聞においても、ニューヨーク・タイムズがこの問題を報じておるのにもかかわらず、日本のマスコミはへっぴり腰だという批判を受けておるのもその辺に根拠があるのではないかとおっしゃったのであります。
 そこで、NHKの電波が一事務所の意向で左右されることがあってはならないと思いますが、郵政省はどのような御指導をされておるのか、お伺いをいたします。
○金澤政府参考人 放送法第三条におきましては、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というふうにされております。これは自律の原則をうたっているということでございまして、放送事業者はみずからの判断により番組を編集し、放送した番組については放送事業者みずからが責任を負うということでございます。
 お尋ねの件でございますけれども、これはまさに放送事業者たるNHKの番組編集権にかかわる問題でございまして、NHKみずから判断すべきものというふうに考えているところでございます。
 ただ、一般論として申し上げますと、NHKはその公共性を十分配意いたしまして、番組編集に当たって適切に対応されるものというふうに期待しているところでございます。
○阪上委員 きょうの質問をきっかけに、差し控えておりましたマスコミ関係もこの問題を注視するものと思います。今後このような形の事務所の問題、社長の存在、虐待される少年の問題等々が明らかになった場合には、先ほど申し上げました元芸能プロダクションの社長がおっしゃっておりますように、一事務所に左右されない電波を私どもは期待するのであります。
 最後に、私は、この問題は厳密に言えば児童虐待ではなく他の法律で処罰される問題かもしれませんが、何度も繰り返すことになりますが、児童虐待とは子供の健全な成長を妨げるような大人のすべての行為であると考え、座視するわけにはいかないとあえてこの場で取り上げさせていただいた次第であります。幸い、関係者の方々からこの問題に積極的にとまでは言えないかもしれませんが取り組むとの御意見をいただきましたので、今後の展開を見守ってまいりたいと思います。
 最後に、有名芸能人が自殺をすればその後追い自殺をする子供たちがいるという時代であります。このような青少年に絶大な影響を持つ芸能人への対応、つまり芸能人を抱える芸能事務所への対応として、取り締まれるはずの法律は、今やりとりをしてきましたように、整備されてはいるのです、しかし現実に問題は生じております。
 私は、現行法があるからそれでいいというのではなく、運用でカバーできると言い張るのではなく、その時代その時代にマッチした法整備というものが必要ではないかと思うのでありますが、最後に各省庁の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○黒澤政府参考人 警察におきましては、子供の健全な成長を妨げるような大人の行為につきましては、既存の法令の適切な運用により厳正に対処しているところであります。また、あわせまして、時代にマッチした新たな法整備につきましても重要なことであると認識をいたしております。
 かかる観点から、例えば児童虐待事案防止に係る法整備に向けた本委員会での検討につきましても、積極的に協力してまいりたいと考えておるところでございます。
○富岡政府参考人 文部省といたしましても、児童虐待の背景とか原因とか、それから、その家族関係の態様というのが時代の変化に伴いまして変化しつつあることもございますので、その時代に即した児童虐待に関する法的な対応というようなことにつきましては、必要な検討をしていくことは大切なことだというふうに私どもも考えております。
○野寺政府参考人 先生いろいろ御指摘いただきました。
 私どもでできることは、まず労働基準法の中で年少労働者の最低年齢というのを定めております。十五歳から義務教育が終了する三月三十一日というふうに改めたわけでございますけれども、これに該当いたしますような場合については厳しく取り締まるとともに、こういった規定年少労働者に対します労働条件の確保等につきまして、適正かつ厳正に対応してまいりたいと思っております。
○真野政府参考人 先生御指摘をいただきましたように、その時代その時代にマッチした法整備というものを検討してまいりたいというふうに思っております。
○古田政府参考人 委員御指摘のとおり、まず現行の法令の趣旨に従った運用の徹底を図るということが肝要でございますけれども、さらに、社会の状況の変化によりまして、特に刑罰法規につきまして申し上げますと、既存の刑罰法令では十分に対応できないという事態が生じましたときには、これに沿うような法整備を図る必要があり、当局といたしましても、そういう観点から引き続き調査検討を進めていきたいと考えております。
○金澤政府参考人 時代の変化に応じましていろいろ見直しが必要になってくることもあろうかと思いますが、その場合に必要な見直しをしていくべきであるということは先生御指摘のとおりと考えております。
○阪上委員 我々も、現行法の足元をよく見きわめながら、児童虐待から児童を守るために今国会中に議員立法で頑張ってまいりたいという姿勢も見せておりますので、皆さん方も真摯な態度で積極的に、きょうの質問をもとに皆さん方の御健闘をお祈りいたします。
 以上で終わります。

以上
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西岡進

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西岡進 (元 菱和ライフクリエイト 社長)

■親族
西岡江美 (妻 日本ライフクリエイト 代表取締役)
西岡考  (兄 ルーデン・ホールディングス社長 )



■参考資料
急成長「菱和」の土地ビジネス (YomiuriWeekly2004年7月11日号本 記者:伊東謙治より)

ここ2年ほどの投資マンションブームに乗って、東証に上場を果たした急成長企業トップに、他社の名義で土地を売買するなどの疑惑が浮上している。本来なら表面化しなかったスキャンダルはひょんなことから――。
 発端は、東京・新橋の赤レンガ通りに面した約500平方メートルの空き地をめぐる、奇妙な訴えだった。警視庁愛宕署に不動産会社2社が「話を聞いてくれ」と相次いで飛び込んできたのは、昨年12月26日のこと。
 まず、不動産会社A社が、「昨日まであの土地に立っていたプレハブ小屋が、何者かに盗まれた」と訴えた。それとほぼ同時に不動産会社B社は、「何者かが自分の土地に車を置いて居座ろうとして、困っている」。
 警察は、双方が言う「何者か」が、それぞれ互いを指すものらしいことは薄々わかったが、不動産会社同士の、よくある民事トラブルとして、事情を聞くだけにとどめた。
 後日、A社はその土地に新たなプレハブ小屋を設置。これに対し、B社は今年2月、他人の土地であることを認識していながら、自分のものとするような行為だとして、A社に土地の明け渡しを求める民事訴訟を起こした。
 ところが、2月24日になって、A社の言葉通り、静岡県下の山林で、実際に投棄されていたプレハブ小屋を静岡県警が偶然、発見。愛宕署は、A社の訴えを盗難事件として受理することになった。
 肝心の土地の所有権自体は、両社が警察に駆け込んだ時点では、確かにB社のもの。だが、同社の売上高からみて、大きな土地取引をする規模の会社には、到底、見えない。
 一見、単純な不動産会社のいさかいも、もつれ合った糸をほぐしていくと、ある急成長企業の名前が浮かび上がってきて――。
「12億で地上げを頼まれた」
 低金利と地価下落を背景に急拡大した菱和ライフクリエイト(以下、菱和)。昨年12月25日に東証2部上場を果たした、投資用ワンルームマンション業界の最大手だ。俳優の岩城滉一を使ったテレビCMで、「菱和パレス」マンションがヒット、最近は高層マンション開発にも乗り出し、建築家の黒川紀章氏も取締役に名を連ねている。社長は創業者の西岡進氏だ。
 現在は、CM女王の菊川怜をイメージガールに起用し、2001年の店頭公開以降、経常黒字を続けるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いなのだ。
 その上場企業が、この小さな不動産トラブルに、どう関係してくるのか。
 B社の主張は、ひと言で言えば、「登記簿通りに売買は行われ、我々が所有権を有しているのだからA社は立ち退け」というもの。だが、訴えられているA社の社長が、この土地をめぐる背景を、こう暴露する。
 「菱和の西岡氏と会って一昨年5月、問題の土地の地上げ資金の融資をしてもらうことで合意しました。地上げ資金として、西岡氏個人と菱和から計12億円が用意されました。まず西岡氏から2億円を借り、その後で菱和から12億円借りた時点で、西岡氏には2億円を返しています。地上げが完了し、土地が高く転売できれば、その利益の中から、謝礼として、西岡氏個人に2000万円、菱和に1億2000万円を支払うことになっていました。だから、私は地上げを完了させた後、プレハブ小屋を建てて、あの土地を買ってくれる人を探していたのです」
 つまり、A社は西岡氏の指示通り、地上げが完了し、買い主を探しているところで突然、立ち退きを迫られた格好なのだ。A社の利益は土地の売り上げから出るため、これではただ働き。しかも、訴えたB会社の仕入れ先は70・80%が菱和という、西岡氏とは非常に親しい関係の会社だったことが判明して、A社の社長は激怒。地上げに際しては、菱和からの12億円の資金だけでは足りず、数億円の持ち出し分があるだけに、西岡氏に説明を求めたのだが、けんもほろろの対応だったという。
取り下げた「報告書」
 そもそも、菱和が地上げを行った理由は何か。一連の取引に詳しい菱和の会社関係者が、こう明かす。
 「過去の権利関係が複雑な『事件物件』というイメージがあり、なかなか買い手がつかなかった。しかし昨年9月ごろ、あの土地は菱和が所有権を持っていたが、菱和は東証2部上場の申請準備で、決算内容を良くする必要があった。事件物件を所有しているより、現金を持つ必要があったのです。そこで、西岡氏はA 社に無断で知り合いの不動産会社に一時的に所有権を移したうえで、自分の言うなりになるB社に買わせ、転売を狙った。資金を出したのは西岡氏ですよ。つまり、地上げを直接行ったA社は、ただ働きをさせられたのです」

 問題の土地に関する疑問点は、ほかにもある。

 この問題の土地の登記簿を詳しく見ていくと、02年6月にC社という小さな会社が一時期、所有。このC社が同年11月に菱和に売却したことになっている。
 このC社の代表者は、西岡氏が以前勤めていた会社の親しい同僚で、菱和にも勤めていたことがあった。大手信用調査会社の企業分析資料には、
 「西岡氏のプライベートカンパニー的要素がある」
 と記述されている。
 A社社長は、トラブルが表面化していた今年1月、この代表者に面会している。その際、この代表者は、菱和の西岡氏が自分の会社の名前を勝手に使っただけで、自分は土地取引について「今、初めて知った」と証言したという。
 菱和の内部関係者は、その事情を明かす。
 「西岡氏は菱和の取引に自分の言いなりになる会社をかませることで、利益を得ようとしているのでは。特にC社は実印まで、西岡氏に握られている」
 もし西岡氏が、名義借りを行っているとすれば、宅建業法違反になる。上場企業の代表者が、そのようなことをしているとは、にわかに信じがたいのだが。
 ところで、冒頭のA社とB社の不動産侵奪の裁判だが、奇妙なことが起きていた。原告側の顧問が裁判所に提出していた「A社はB社の土地に不法に居座っている」という報告書を、裁判が始まった直後に取り下げているのだ。
 前出の関係者が話す。
 「実は、その顧問は、今回のトラブルが起きてから西岡氏がB社に紹介しました。警察関係に人脈を持つので解決できるだろうという思惑だった。しかし、この人物は引き受けたものの、実態を調べたら、被害者はA社のほうだということがわかり、手を引いてしまったのです」
 その疑問を菱和にただすと、野崎善久総務部長は、
 「土地の取引は正当に行われている。A社が行っているのは犯罪行為」
 などと回答。
 西岡氏も、
 「知り合いの業者を使って、私服を肥やしていると思われるのは心外。事実無根です」
 と話している。
 本来なら、菱和の名前が表に出るはずのなかった今回の土地取引。図らずも、急成長企業の不透明さを浮き上がらせたプレハブ小屋は、現在も、同じ場所に立っている。




ルーデン・ホールディングス (Wiki)

西岡進社長特別顧問にハメられた!? 「アライヴコミュニティ」福岡浩二元社長、2億円無断出金の真相 (2008年08月07日17時48分 / 提供:アクセスジャーナル)

 

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